パラグライダーは元々、1970年代にフランスの登山家が山からの下山方法として
スカイダイビング用のスクエアー式パラシュートを使用した事がきっかけで始まったとされています。
日本にパラグライダーが入ってきたのは1985年頃で、一部の輸入業者や愛好家が独自に山や海岸などからテスト飛行を繰り返していました。
その頃のパラグライダーは、まだまだ「グライダー」などと呼べる性能は無く、スキー場の上級者コースのかなりの急斜面を上から下まで走っても少ししか浮きませんでした。
どうしたら高く飛べるのだろう?試行錯誤しながら、かなりの強風で試してみたり、崖の様なところから飛び出してみたり、車で引っ張ってみたり、今考えればかなり危険なことをやっていたように思います。実際私も、強風で後の山に飛ばされたりしました。
教えてくれる人が誰もいないわけですから、どうやったら上手くいくのか自分で考えてやってみるしか無かったのです。
そのような時代を経て、1987年には「第1回パラグライダー教員研修検定会」が長野県の木島平スキー場で開催されました。
全国各地からスキー場関係者、パラグライダー輸入業者、ハンググライダー・パラグライダースクール経営者などが一同に集まり、パラグライダーに関する理論と飛行技術、指導法などを学んだのです。
こうして1987年に「パラグライダー教員」が全国各地に誕生したのです。
日本における本格的なパラグライダーの幕開けです。
全国各地にパラグライダー教員が誕生してからは、全国各地のスキー場を中心にパラグライダースクールが数多く誕生しました。
初期のパラグライダースクールでは、レジャー志向の方は少なく、登山愛好家が多かったように思います。
自分で登った山から飛んで見たい、そんな想いがきっかけだったのでしょう。
1988年にはNHKで「パラグライダー講座」が放映された事をきっかけに「パラグライダーブーム」が起きました。
パラグライダースクールには毎週末50名を越える体験受講者が集まり、大いに賑わっていました。
受講者の半数以上は若い女性で、初期の頃とは体験者の客層もだいぶ変化してきました。
現在、修学旅行のパラグライダー体験を除けば、毎週末に50人以上の体験受講者が集まるスクールはおそらく無いでしょう。当時はまさに「パラグライダーブーム」が起きていたのです。
この頃になると、パラグライダー自体の性能も高くなり、指導者の指導方法もある程度確立され、体験受講者が簡単に飛べる環境が整ってきました。
上昇気流を利用した長時間フライトや長距離フライトが可能になったのもこの頃です。
このこともパラグライダーブームが起きた要因の一つと考えられます。
そして時代は流れ、ブームは去り
スクールやパラグライダーエリアは淘汰されました。
現在あるスクールはプロフェッショナルなスクールであると考えて良いでしょう。
また、パラグライダーの飛行性能と安全性はさらに飛躍的に向上し、簡単に長時間フライトが可能になりました。
上昇気流に乗って高く、遠くにも飛べるようになりました。
テレビや雑誌でも取り上げられ、レジャースポーツとして広く認知されるようになりました。
初期のパラグライダースクールの1日体験に参加したけれど、なかなか飛べなくて諦めてしまった方、自分のパラグライダーを買ったけれども、あまり飛ばなくてやめてしまった方も多いことでしょう。
しかし「飛びたい」という気持ちが少しでもあれば、パラグライダーが飛躍的に進化したこの時代に、再びパラグライダーにチャレンジしていただきたいと思います。
当時とは全く違うパラグライダーが今日にはあるからです。